はじめに:契約書管理方法選択の基準項目
契約書管理は、企業リスクの軽減、法的コンプライアンスの確保、
そして効果的なビジネス関係の維持に直結します。
契約書管理方法を選択する際の基準項目をいくつか挙げます。
●アクセシビリティ
必要な契約書に迅速かつ容易にアクセスできるか。
●セキュリティ
情報の機密性を保護し、不正アクセスから契約書を守るための措置が施されているか。
●スケーラビリティ
組織の成長に伴い、契約書管理システムが拡張可能かどうか。
●コスト
管理方法のコストが予算内で収まるかどうか、そして長期的に見てコスト効率が良いか。
●ユーザーフレンドリー
管理システムが使いやすく、必要な機能を備えているか。
企業や事業のスケールも考慮した上で、最適な契約書管理方法を選びましょう。
契約書管理方法
エクセルを利用した契約書管理
エクセル(Excel)は、多くの企業や個人が利用している表計算ソフト・PCツールで、
手軽に始められることから、特に中小企業やスタートアップにおいて人気があります。
エクセルを用いた管理方法のメリットとデメリット、実践的な管理テクニック例をそれぞれ説明します。
エクセル管理のメリット
●利用しやすい
多くの人が基本的な操作に慣れているため、新しいソフトウェアの学習が不要です。
●導入コストが低い
追加のソフトウェア購入が不要で、既にオフィス環境に含まれている場合が多いため、コストを抑えられます。
●基本的な管理機能をカバー
契約書の一覧表示、期限の管理、重要なメモの記録など、基本的な契約管理機能はエクセルでも十分に実現可能です。
エクセル管理のデメリット
●スケーラビリティの問題
契約書の数が増えるにつれて、管理が煩雑になり、エクセルのファイルが重くなることがあります。
●セキュリティリスク
ファイルの不正アクセスや紛失のリスクがあり、重要な契約情報の保護が難しい場合があります。
●複数人での編集が困難
同時に複数人が編集する場合、バージョン管理が難しく、情報の齟齬が生じやすいです。
実践的なエクセル管理テクニック例
●テンプレートの活用
契約書管理用のエクセルテンプレートを作成し、一貫性と効率を高めます。
●データ検証機能を使用した入力エラーの防止
データの入力規則を設定することで、誤入力を防ぎます。
●条件付き書式を使用した視認性の向上
期限が近い契約書や要注意の契約書を色分けすることで、重要な情報を見逃さないようにします。
エクセルを使用した契約書管理は、その利便性と柔軟性から多くの場面で有効です。
しかし、その機能とセキュリティ面の限界も理解し、
組織の規模や契約書の重要度に応じて、他の管理方法との併用を検討することをオススメします。
SaaSサービスを利用した契約書管理
近年、契約書管理においてSaaS(Software as a Service)サービスの利用が急速に広がっています。
クラウドベースで提供されるこれらのサービスは、
従来の手法と比較して多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。
SaaSサービスのメリット
●アクセスの容易さと柔軟性
インターネットがあればどこからでもアクセス可能で、外出先やリモートワーク時でも契約書管理を行えます。
●自動バックアップと高度なセキュリティ
データは自動的にバックアップされ、エンドツーエンドの暗号化により保護されます。
●スケーラビリティと統合性
企業の成長や契約書の増加に合わせて容易にスケールアップ可能で、他のビジネスツールとの統合も容易です。
SaaSサービスのデメリット
●継続的なコスト
初期投資は少ないものの、サービス利用料が継続的に発生します。
●プライバシーとデータ保護の懸念
クラウド上にデータを保管することに対する懸念があり、
サービスプロバイダーのセキュリティ対策を信頼する必要があります。
SaaSサービスを用いた契約書管理には、高い柔軟性と効率性がありますが、
継続的なコストやプライバシーの懸念もあるため、サービス選択には慎重に。
自社の具体的なニーズとリソースを総合的に評価し、
セキュリティ対策、サポート体制、既存のビジネスツールとの互換性等を考慮して選びましょう。
文書管理システム(DMS)による契約書管理
文書管理システム(Document Management System、DMS)は、
デジタル化された文書の保存・検索・管理を効率化するためのシステムです。
特に契約書・重要文書を扱う際に、このシステムの利点は大きくなります。
文書管理システムのメリット
●文書の統一管理
全ての契約書を一元化して管理できるため、検索や参照が容易になります。
●バージョン管理と監査証跡
文書の変更履歴を追跡し、誰がいつどのような編集を行ったかを記録できるため、
監査やコンプライアンスの要件を満たすのに役立ちます。
●ワークフローの自動化
契約承認プロセスなどのワークフローを自動化し、業務の効率化を実現します。
文書管理システムのデメリット
●初期費用がかかる
システム導入には、現状調査と初期投資が必要で、既存の業務プロセスに合わせて考える必要がある。
●システムのカスタマイズが必要な場合
組織特有の要件を満たすためのカスタマイズに追加の時間と費用がかかることがあります。
文書管理システム導入のために
●目的と要件の明確化
導入の目的と組織の具体的な要件を明確にすることが成功の鍵です。
●ステークホルダーとの協議
導入にあたっては、関連する全てのステークホルダーとの協議を行い、ニーズと期待を理解しておく。
●OJTとサポートの計画
システム導入後のOJTとサポート体制を整えることで、スムーズな移行と効率的な運用を実現します。
文書管理システムは、契約書管理の効率化とコンプライアンス強化に大きく貢献します。
しかし、成功のためには、適切な準備と計画が不可欠です。
導入前には、利点と潜在的な課題を十分に評価し、組織に最適なシステムを選びましょう。
適切な方法で契約書管理を行うことにより、
業務効率の向上やコスト削減、
企業間・社内での契約トラブルやリスク回避が可能となります。
契約書管理や文書管理のDX化を目指すのであれば、
ぜひSRIの契約書管理システム【BUNTANリーガル】導入をご検討ください。
現状調査・アドバイスからマネジメントまで広く
SRIの経験豊かな文書管理コンサルタントが、お悩み・ご相談承ります。